うさこちゃん と たれみみくん
☆他の子とは違うという事☆
26ページ 読み聞かせ:3分
内容
うさこちゃんのクラスに、新しいおともだちが加わることになる。
片側の耳の垂れた男の子「だーん」君。
先生はだーん君のことを、
「みなさんとちっともかわらない…ちょとちがっているのは…みみ…」と紹介。
クラスのみんなはだーん君のことを「たれみみくん」と呼ぶ。
だーん君と親しくなったうさこちゃんは、
「たれみみ」というあだ名について聞いてみる。
だーん君はあだ名で呼ばれることを嫌がっていたけれど、
そのうちやめてくれると半分諦めていた。
うさこちゃんはクラスのみんなに「たれみみくん」って呼ぶのをやめるよう
呼びかける。
「おはよう、だーん!」ってみんながいってくれて、よかったね。
感想
御馴染みの可愛らしい白うさぎのうさこちゃん。
うさこちゃんシリーズの中でも重い内容となっている本書。
うさこちゃんと区別がつかないクラスのこどもたち。全員白うさぎ。。
このこ達の仲間入りをする耳の垂れた「だーん」君。
お姫ちゃんも気づくこの大きな違和感。
そこに先生の一言「みみ…」。
みんなが「たれみみくん」と呼ぶのを助長しているようで、怖い。
だーん君の個性を言い表す時、特徴的な外見をまず第一に挙げてしまう。
よくある、人を傷つけるパターン。
「ぼく もうなれてるから。」
「ぼくのことをもっとよくしったらかわるんじゃないかな。」
だーん君のことばが切ない。
先生もクラスのみんなも、きっと悪気があって口にした訳ではないのだろう。
表情の読み取れないキャラクターだからこそ、怖さを感じるし、自己を投影しやすい。
名前ではなく、「たれみみくん」と呼ばれるだーん君の気持ちが身につまされる。
お姫ちゃんは素直にたれみみくんを「かわいい~」と言った。
けれど、ちゃんと名前で呼んであげないといけない事をわかっていた。
人とは違う。誰もが違って、誰一人として同じ人はいない。
特別、目立った違いがあったとしても、同じこと。
それを当たり前、気にしない、騒がない大人でも難しいテーマ。
「だーん」と呼ばれて初めて、このこはクラスの一員になれたのかな。
薄い見えない壁が取り払われた感じ。
うさこちゃんの勇気に感服。
こういう時、うさこちゃんの様な子の行動が報われる世であって欲しい。