わたり鳥
☆鳥への熱い愛があふれてる☆
41ぺージ 読み聞かせ:9分
内容
春になると南のくにから、100しゅるい以上の鳥たちが日本へとんでくる。
冬になると今度は北のくにから、100しゅるい以上の鳥たちが日本へとんでくる。
アフリカからヨーロッパやシベリアへとんでいく400しゅるいの鳥たち。
中央アメリカや、南アメリカから北アメリカへとんでいく350しゅるいの鳥たち。
8,000メートルの山をこえるインドガン。
北極でうまれ、南極へとび、また北極へかえってくるキョクアジサシ。
世界中のわたり鳥たちが、安心できる場所へとわたりをする。
春、じぶんのうまれた場所をめざし無事にたどりつくと巣をつくり、卵をうみ、
ひなをそだてる。
ひながとべるようになると、秋・冬をすごす場所へとまたわたっていく。
感想
世界地図と、鳥の図鑑と一緒に開いて読んでしまう作品。
この作品自体、鳥の図鑑の様なのだけれど。
はじめて表紙のコガモと目があった時、
「なんかさぁ、め、すごいねぇ~。」ってお姫ちゃんが唸った。
鈴木まもるさんの鳥の絵には、魂が入っているようで、惹きつけられる。
余程、鳥を好きな人が描いているんだなぁと。恵愛というのかな?
寒くなると、農業用の溜め池に、渡ってきた鳥がいろいろと集まっている。
何という種類で、どこから飛んできたのか、とても気になる。
お姫ちゃんと一緒に図鑑をめくっては、どの子なのか探してみる。
もっと鳥の知識があったなら、楽しいだろうなと、散歩の度に出会う鳥に見つめられて
思う。
渡り鳥というと、『ニルスのふしぎな旅』を思い起こす。
小人になったニルス少年と、ガチョウのモルテンと、ガンの群れが旅をするお話。
ニルスの様に、小さくなって鳥の背に乗って旅をしてみたかった。
『わたり鳥』には、どんな鳥がどこからどこへ飛んでいくのか一目でわかるよう
描かれている。
「とりって、そんなにとべるんだね!」と、
毎年、お店の軒下に巣をつくるツバメの話をして、お姫ちゃんは面白がっていたっけ。
空っぽになった巣を見上げて、「また、らいねんね!」って笑った。
ぺージをめくると出てくる鳥の名前を覚えようと、口ずさんで、まだ難しいよね。
あとがきで、鳥インフルエンザの話に触れられていた。
病気を運んでくると報道され、
わたり鳥や野鳥に、悪者のイメージが付けられてしまったこと。
普段、口にする若鶏(ブロイラー)も、わたり鳥と野鳥もどちらも悪くない。
作者は、鶏にも心を砕いていた。
登場してくる鳥の紹介には、鳥の巣と卵も描かれていて、興味深い。
6月頃、通りがかった田んぼの水中に、木の根のようなものが編み込まれた
鳥の巣が落ちていた。
鳥は本能でこんなものをつくることができるのか~と感心しつつ、
どうしてこんなところに?と思いながら歩いていくと、
少し離れたフェンスの下に、ウズラより小さな卵の殻が散らばっていた。
命がけで海を越えて渡ってきて、繋ごうとした命だと思うと、尚の事せつない。
そうそう、ウズラも海を渡って飛んできていたとは知らなかった。
可愛い姿で、そもそもウズラは飛ばないものだと勘違いしていた。
人間が誕生する前からつづくものを言わないわたり鳥の生き方を、
邪魔しないようにいきたい。
2月~8月に鳥の巣を見かけたら、近づかないことくらいしかできないけれど。
ニルスみたいに、鳥とおしゃべり出来たらいいのになぁ。